本研究は極低温(~50 mK)まで行われている強相関電子系研究を超低温(~1 mK)まで拡張することを目的とした。その第一歩として超低温度領域で有効な測定手段を見出すために、重い電子系超伝導物質CeCoIn5の量子振動測定を行った。その結果、超低温領域で量子振動の振幅の減少と周波数の不連続変化を観測し、超伝導相と隣接する秩序相が存在することがわかった。CeCoIn5の超伝導状態は量子臨界点近傍にあるが、超伝導相と隣接する秩序相の存在の有無は長年の謎であった。全く予想外の本研究成果は、この物質における新しい相の発見にとどまらず、今後の超低温物性研究が非常に有望であることを示している。
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