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2016 年度 実績報告書

新しい陰イオン置換反応の確立と混合陰イオン化合物の物性開拓

研究課題

研究課題/領域番号 15K17695
研究機関東京大学

研究代表者

平井 大悟郎  東京大学, 物性研究所, 助教 (80734780)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワード混合アニオン / 強相関電子系 / 低温合成 / 酸フッ化物 / 酸窒化物 / 多色性
研究実績の概要

新しい陰イオン置換反応を確立し、強相関遷移金属酸化物に対する物性制御と新奇物性の開拓を行うことを目指し、さまざまな遷移金属酸化物に対して、有機物の熱分解を利用した陰イオン置換反応を試みた。H28年度は特に、メラミン(C3H6N6)を利用した酸化物の窒化反応により、新物質であるSnNCo3やカルボジイミドLn2O2NCNの合成に成功した。
メラミンを用いた反応はこれまで、2元系の窒化物および炭化物の合成にのみ適用されてきた。本課題では、合成条件を検討し、アンチペロブスカイト型化合物を合成することで、より複雑な化合物の合成にもメラミンを用いた窒化反応が適用できることを示した。また、メラミンが窒素と炭素の両方を含む点に着目し、直線分子NCNを陰イオンとして含むカルボジイミドの合成にも取り組んだ。この結果、混合アニオン化合物のLn2O2NCNの合成にも成功した。合成したLn2O2NCNに対して磁化測定を行った結果、二重結合によって結合したNCNの特異な分子形状に起因して、低次元化した磁性を示すことがわかった。カルボジイミドにおける特徴的な磁性は、NCNなどの特異な分子形状をもつ陰イオンが物性に大きく影響を与えることを示している。
混合陰イオン化合物の示す特異な物性として、新物質Ca3ReO5Cl2における多色性を見出した。多色性は、見る方向によって物質の色が異なるという光学現象である。混合アニオン化合物では、カチオンのまわりに2種類以上のアニオンが配位するため、単純な酸化物では実現できない配位環境を作ることができる。Ca3ReO5Cl2では、四角錐型という特異な配位によって、光学遷移の選択則が偏光に依存し、見る方向色が変わることを明らかにした。この結果は、混合陰イオン化合物の持つ特殊な配位環境に着目した、光学特性のデザインにつながると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 金属カルボジイミド化合物における物質開発と磁性2017

    • 著者名/発表者名
      田中秀岳、平井大悟郎、広井善二
    • 学会等名
      日本物理学会第72回年次大会
    • 発表場所
      大阪大学 (大阪府・豊中市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [学会発表] 異方的三角格子をもつ5d量子磁性体Ca3ReO5Cl22017

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎、河村光晶、三澤貴宏、広井善二
    • 学会等名
      日本物理学会第72回年次大会
    • 発表場所
      大阪大学 (大阪府・豊中市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [学会発表] 多色性で見る5d軌道2017

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎
    • 学会等名
      新機能無機物質探索研究センター・シンポジウム
    • 発表場所
      東北大学 (宮城県・仙台市)
    • 年月日
      2017-02-10 – 2017-02-10
    • 招待講演
  • [学会発表] "Visible” orbital state in an oxychloride2017

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎、矢島健、金昌秀、秋山英文、河村光晶、三澤貴宏、阿部伸行、有馬孝尚、広井善二.
    • 学会等名
      16th CEMS-QPEC Symposium on “Emergent Quantum Materials”
    • 発表場所
      東京大学 (東京都・文京区)
    • 年月日
      2017-01-18 – 2017-01-20
    • 国際学会
  • [学会発表] "Visible” orbital state in a pleochroic oxychloride2016

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎、矢島健、金昌秀、秋山英文、河村光晶、三澤貴宏、阿部伸行、有馬孝尚、広井善二.
    • 学会等名
      Workshop on “Solid-state chemistry for oxide and mixed-anion systems”
    • 発表場所
      京都大学 (京都府・宇治市)
    • 年月日
      2016-12-06 – 2016-12-08
    • 国際学会
  • [学会発表] 多色性で見る5d軌道2016

    • 著者名/発表者名
      平井大悟郎、矢島健、金昌秀、秋山英文、河村光晶、三澤貴宏、広井善二.
    • 学会等名
      日本物理学会 2016年秋季大会
    • 発表場所
      金沢大学 (石川県・金沢市)
    • 年月日
      2016-09-13 – 2016-09-16

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公開日: 2018-01-16  

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