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2015 年度 実施状況報告書

パルス強磁場・圧力下物性測定によるCe1-2-10系新規秩序相の発現機構解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K17699
研究機関東京大学

研究代表者

近藤 晃弘  東京大学, 物性研究所, 助教 (00572819)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードパルス強磁場 / 圧力下物性測定 / 強相関電子系 / 近藤半導体
研究実績の概要

本年度は、パルス磁場中での圧力下磁化および磁気抵抗測定システムを構築するため、NiCrAl製のピストンシリンダー型圧力セルの作製、および磁化測定で使用するためのホール素子の選定を主に行った。
まず圧力セルについては、主要部品を作製する過程で寸法の微調整に想定外の時間を要してしまったが、実際に加圧テストを行い、圧力下での電気抵抗測定が可能であることを確認した。加圧テストは室温で実施し、2.5GPaと2.7GPaで構造相転移を示すBiの電気抵抗を測定した。作製した圧力セルの加圧上限は3GPa程度と予想していたため、今回のテストでは2.5GPaでの転移を確認することを目標にしたが、残念ながら加圧時に生じた諸問題により約2GPaの加圧で留まった。うまく加圧できなかった原因についてはおおよそ見当がついているため、これから研究を遂行していく上での支障とはならないと考えている。いずれにせよ、2GPa程度での測定が可能となったことから、次年度では本研究での目的であるCe1-2-10系での奇妙な反強磁性の機構解明に繋がる実験を精力的に進めていきたい。
一方、ホール素子については定常磁場下で実績のあるGaAs型に加え、InAs型のホール素子についても測定可能かどうかを確認した。超伝導磁石を用いたテストでは、InAs型のホール素子は磁化測定を行う上では感度が非常に悪いため、本研究での使用は不適であることを確認した。一方、GaAs型のホール素子では2つのホール素子をブリッジ的に結合することにより、本研究の対象であるCe1-2-10系の磁化(容易軸方向)を明瞭に検知することができた。したがって、パルス強磁場下での圧力下磁化測定についても、実際にホール素子を圧力セルに組み込んでCe1-2-10系の測定を開始できる環境が整いつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究の要となるピストンシリンダー型の圧力セルは、当初の予定では本年度前半までには完成し、パルス強磁場下での測定で使用することになっていたが、セル内径の寸法の微調整やセル内部の表面研磨などに予想以上の時間を要してしまったため、研究実施計画通りの測定を行うまでには至らなかった。これらの測定は次年度に行える環境はすでに整えているので、可能な限り測定頻度を上げていき、少しでも遅れを取り戻していきたい。

今後の研究の推進方策

パルス強磁場中での圧力下物性測定を行う環境はすでに整ったので、まずはCeRu2Al10の磁気抵抗測定を圧力下で測定し、容易軸方向の臨界磁場がどの様な変化を示すか、またフェルミ面がどのような圧力変化をするのかを調べていく。その後、CeOs2Al10、CeFe2Al10においても28年度中に同様な測定を行う予定である。
上述の測定と並行して、ホール素子を用いたパルス強磁場中での圧力下磁化測定も行う。まずは素性の分かっているCeRu2Al10について測定を進めていく。その後は結果を見ながらCeOs2Al10の測定を行うかCeRu2Al10のRh置換系を進めていくかを考えていきたい。

次年度使用額が生じた理由

27年度前半に完成予定であったピストンシリンダー型圧力セルの完成が大幅に遅れたため、測定システムの構築にも遅れが生じてしまい、予定していたデータ集積システムの購入も翌年度に持ち越す必要があったため。

次年度使用額の使用計画

27年度末にようやく測定環境を整えることができたので、前年度に購入を予定していたデータ集積システム一式の購入を現在検討しているところである。28年度前半にはこれらを購入し、その後は使用計画に準じた形で研究を遂行していく予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 近藤半導体CeT2Al10 (T = Ru, Os) における磁場誘起相の磁場方向依存性2016

    • 著者名/発表者名
      近藤晃弘
    • 学会等名
      日本物理学会第71回年次大会
    • 発表場所
      東北学院大学(宮城県仙台市)
    • 年月日
      2016-03-21
  • [学会発表] CeT2Al10 (T = Ru, Os) 置換系におけるスピンギャップの磁場効果II2015

    • 著者名/発表者名
      近藤晃弘
    • 学会等名
      日本物理学会2015年秋季大会
    • 発表場所
      関西大学(大阪府吹田市)
    • 年月日
      2015-09-17

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公開日: 2017-01-06  

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