銅酸化物高温超伝導体は、長い超伝導の歴史の中でも最も高い超伝導転移温度(Tc)を示す物質の一つであり世界中で研究されている。しかし、その超伝導機構は未だ解明されていない。そこで、最もTcが高い物質の一つである3層系銅酸化物Bi2Sr2Ca2Cu3O10+deltaに着目し、角度分解光電子分光を行い今まで観測されなかった新しいバンド分散を世界に先駆けて観測した。これは、3枚あるCuO2面のうち、外側2枚のCuO2面間の相互作用が重要なことを示唆しており、高いTcを示す超伝導の理解において重要な鍵となる可能性がある。また格子応答を観測できる時間分解電子線回折法で超伝導解明に向けて研究を続けている。
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