研究実績の概要 |
平成29年度は、平成28年度までに実施した研究成果で得られた知見を反強磁性相で生じる様々な現象の研究に応用し、多くの研究成果を創出している。 反強磁性体Mn3Snの反強磁性相の研究では、実験グループと共同で時間反転の破れが生み出す特異なバンド縮退点(ワイル点)の同定に成功し、Nature Materials誌に論文を出版(Kuroda, Suzuki et al., Nat. Mater. 16, 1090 (2017))、また、同反強磁性相の大きな異常ネルンスト効果の起源を調べ、Nature Physics誌に論文を出版している(Ikhlas, Suzuki et al., Nat. Phys. 13, 1085 (2017))。さらに、それまでの研究で提案したクラスター多極子理論を反強磁性体の磁気光学カー効果の研究に適用し、実験で観測される磁気光学カー効果と磁気八極子の関係を明らかにし、Nature Photonics誌に論文を出版している(Higo, Suzuki et al., Nat. Photonics 12, 73 (2018))。 また、第一原理計算による多極子理論研究の包括的な解説記事として、鈴木通人、五宝健、播磨尚朝、固体物理 52, 683 (2017)とMichi-To Suzuki, Hiroaki Ikeda, Peter M. Oppeneer, J. Phys Soc. Jpn. 87, 041008 (2018)の2点を出版している他、反強磁性相におけるフェルミ面の研究(Pourret, Suzuki et al., J. Phys. Soc. Jpn. 86, 084702 (2017))やYb系化合物の電子状態研究(Yamaoka, Suzuki et al., Sci. Rep. 7, 5846 (2017))を実施し論文を出版している。
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