研究課題
水の窓軟X線顕微鏡用光源として注目されているレーザー生成プラズマ(LPP)について,東口武史教授グループ(宇都宮大学)によってビスマス(Bi, 原子番号Z=83)およびジルコニウム(Zr, Z=54)のLPPを,波長1064nm,パルス幅150psまたは10nsのプリパルス(<15mJ)およびパルス幅150psのメインパルス(250mJ)のNd:YAGレーザーを用いたダブルパルス法で生成し,水の窓領域(2.34-4.38nm)における発光のレーザー照射条件依存性を調査した。ダブルパルスが何れもパルス幅150psでパルス遅延時間が約5nsの時に,メインパルスのみの時に比べてBi-LPPで約30%,Zr-LPPで約18%,水の窓領域における発光強度が増幅されることが確認された。また,発光スペクトル形状に顕著なパルス遅延時間依存性やプリパルス幅依存性が観測されたことから,ダブルパルス法によってLPP光源の発光特性が制御できることが実証され,最適条件下では光源サイズ30x60um^2で光子数3.8x10^{14}photons/srが得られた。これらの結果とBi標的を原子密度7.5%の泡状標的にした際の発光スペクトルから,極端紫外光源のスズ(Sn)に比べてBiの自己吸収係数は小さく,光学的に薄いことが確認された。一方,核融合科学研究所が所有する多価イオン源CoBIT,軟X線~EUV領域用分光器を用いて,金(Au)およびレニウム(Re)の多価イオンについて価数制御発光スペクトルの電子ビームエネルギー依存性測定を行った。最外殻電子が4f^{14}状態または4f^{14}5s状態になる価数において,過去に多価タングステン(W)イオンで観測された電気八重極子(E3)遷移の4f-5s遷移に対応する発光ラインがAuでは観測されず,Reでは観測され,その禁制遷移の強い原子番号依存性が実証された。
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