研究課題
本研究では、ルビジウム原子のボース・アインシュタイン凝縮体(BEC)を光パルスでRydberg状態へ励起するという手法を用いて、原子間に強い電気双極子相互作用を持つBECを生成する。このBECにおける電子の非平衡ダイナミクスの実時間測定を目指すと共に、励起する光パルスの調整により相互作用の強さや異方性が制御できることを示す。これらのツールを用いて、強く相互作用し合う量子縮退系における未知の量子相や量子現象を探索し、量子縮退系のより深い理解へとつなげることを目的とする。1、平成27年度の時点でルビジウム原子のBECを生成したが、BEC特有の量子現象を調べるためには、BECではない別の原子集団で起こる現象との比較実験が必要となる。このため、BECをレーザーの定在波が作る光格子ポテンシャル中に導入し、原子を規則正しく配列する実験系を新たに組み立てた。これにより、原子を光格子の各格子点に1個ずつ、格子欠陥なく導入することに成功した。この結果を、2017年3月の日本物理学会第72回年次大会における口頭発表にて報告した。2、準備した原子集団を光パルスでRydberg状態へ励起して原子間相互作用を誘起し、その非平衡ダイナミクスを調べた。BECと光格子中の原子集団を比較した結果、励起直後にこれら2つは異なるダイナミクスを示した。また、光パルスの波長制御により励起するRydberg状態の主量子数を変えると相互作用強度が変化し、ダイナミクスも変わることが分かった。現在、理論モデルによりこれらの現象の理解を進めている。
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Physical Review A
巻: 94 ページ: 053607
10.1103/PhysRevA.94.053607
https://ucan.physics.utoronto.ca/News/report.2015-06-08.8920876916/view
https://groups.ims.ac.jp/organization/ohmori_g/bec.html
https://groups.ims.ac.jp/organization/ohmori_g/lattice.html
https://groups.ims.ac.jp/organization/ohmori_g/unitfilling.html