本研究では、直径1.45 nm以上の単層カーボンナノチューブ(SWCNT)に内包された水の性質を、X線回折実験、NMR測定、古典分子動力学計算などの手法により調べた。その結果、(1) SWCNT内包水のwet-dry現象のメカニズムを解明した。(2) 内包水は低温(約220 K)まで速い回転運動をしていることを実験で明らかにした。(3) 220 K以下で内包水の構造とダイナミクスは不連続転移を起こし、その転移温度TcはSWCNT直径に依存することを明らかにした。本研究はSWCNTの疎水性円筒空洞内の水の物性理解に留まらず、バルク水の未解明物性の解明にもつながる知見を与えるものである。
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