研究課題
日本などの環太平洋地域では、地震や火山噴火などの現象を伴いつつ海洋プレートが地球深部へと沈み込んでいる。海洋プレートの下部マントルへの沈み込みは、これまでの地震波観測およびその他の地球内部構造の研究によって下部マントルへの沈み込みが示唆されていた。しかし、核・マントル境界(CMB)まで沈み込むのか、そして沈み込んだ場合にどのような現象が引き起こされるのかは未解明であった。そこで、地震波形の持つ全ての情報を用いる「波形インバージョン」をアメリカに展開された稠密アレイUSArrayのデータに適用し、世界最高解像度(水平250km鉛直50km)で中米およびカリブ海下の最下部マントルの地震波速度構造を定量的に推定することに成功した。その推定イメージによって、かつて太平洋の底にあった古プレートの沈み込みがCMBまで到達していることが明らかになった。さらに、その脇にCMBからの上昇流と解釈できる像があり、CMBまで沈み込んだ古プレートが上昇流を励起している可能性が示唆された。これらは地球表層の運動がマントルの対流に影響を支配していることを意味し、この発見は地球の熱・化学進化の理解に貢献するものである(Borgeaud et al. 2017)。
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Science Advances
巻: 3 ページ: e1602700
10.1126/sciadv.1602700
http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/info/5653/