研究課題/領域番号 |
15K17747
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮本 成悟 東京大学, 地震研究所, 助教 (80402444)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 山体崩壊 / 断層 / ミューオン / 原子核乾板 / ラジオグラフィー / 火山 |
研究実績の概要 |
本研究では,スペインカナリア諸島の一つ,ラパルマ島にて,1949年の噴火活動によって生じたと考えられている亀裂が生じた。海外の研究者が予想しているように,大規模な山体崩壊の兆候であるかどうかを判断するパラメータを取得するため,宇宙線ミューオンを用いたミューオグラフィを行い,亀裂/断層の幅・深さ・長さなどの形状と空隙度を観測する。 平成27年度に行われる予定の研究計画は,(A) テスト検出器の解析,最適な原子核乾板検出器の準備,テスト検出器結果について論文執筆 (B) ラ・パルマ島でのミューオン検出器設置作業 (C) 検出器回収・現像作業,の3つである。 (A)に関して,スペイン,イタリアの共同研究者と共に論文執筆を行い,Near Surface Geophysicsというジャーナルに投稿した(その後Acceptの知らせを受けた)。ただし,テスト検出器の最終結果を公表するまでには至らず,研究の意義,検出器の設置報告,期待される観測パフォーマンスを示すにとどまった。 (B)に関して,まず先立って名古屋大学と共同で原子核乾板の製作を行った。結果,7.5平米の原子核乾板を製作した。その後,2016年3月下旬,スペインカナリア諸島・ラパルマ島において,1ミリ厚の鉛板9層と10枚の乾板のサンドイッチ構造で,有効面積0.75平米の低雑音ミューオン検出器を地滑り断層面に向けて設置した。この有効面積の規模の低雑音乾板検出器によるミューオグラフィは過去に例がない。 (C)に関して,検出器の回収は,2016年6月末を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
原子核乾板製造を共に行う名古屋大学や,現地で共に設置作業を行うスペイン研究機関とのスケジュールがあわず,全体で申請書に書いたスケジュールとは2ヶ月程度の遅れが生じているが,それ以外は計画通りに研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
6月末に乾板を回収,現像を行う。現像後,共同研究関係にあるイタリアの大学,名古屋大学で乾板に記録されたミューオンの飛跡の画像解析を行ってゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際共同研究関係にある研究機関との都合で,ラパルマ島検出器設置が平成28年4月初旬に行われ,また検出器回収が平成28年6月に行われる予定であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度4月に行われた検出器設置の費用と,6月に行われる回収,乾板輸送費はこの時に使用される予定である。
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