研究課題
本研究の目的は,スペイン・カナリア諸島の一つ,ラパルマ島にて,1949年の噴火活動によって生じたと考えられている断層が,大規模な山体崩壊の兆候であるかどうかを判断するパラメータを取得するために,宇宙線ミューオンによるラジオグラフィ手法を用い,断層の幅・深さなどの形状と空隙率を観測することである。平成27年度に名古屋大学にて7.5平米の写真乾板を製造した。これらの乾板は,厚さ1mmの鉛板とのサンドイッチ構造で10層積み重ねられ,雑音に強い仕様で用いられた。この観測器を平成28年度初旬にラパルマ島の断層露頭の目の前に設置した。平成28年度6月に全ての写真乾板の回収を終え,有効面積0.75平米・観測期間3ヶ月の観測を終えることが出来た。回収された乾板は,イタリアのグランサッソ国立研究所にて現像された。現在写真乾板のネガに記録されたミューオンの飛跡画像を,自動読み取り装置でデジタルデータ化する作業に入っている。具体的には,(1)乾板を一枚ずつ自動飛跡読み取り装置に設置し,(2)乾板中に記録された直線的なミューオンの飛跡だけを画像処理で選び出し,(3)10枚の乾板に渡って繋がるミューオンの飛跡だけを選び出す。(3)の手順は,物質量の多い鉛板を挟んで隣の乾板に直線的に繋がるかどうかの判定を行い,雑音粒子を除去している。一部の写真乾板では上記の解析が終了し,亀裂が露出している地形の稜線が写っていることが確認されている。この画像解析作業を全て終えるには,平成29年度までかかる見込みである。
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ANNALS OF GEOPHYSICS
巻: 60 ページ: 1-5
http://dx.doi.org/10.4401/ag-7385