海洋プレート浅部では、そのときの応力場の状態によって岩石内に新しく亀裂が形成される。これらの亀裂の性質は、地震波速度の異方性を通して調べることができる。本研究では、(1)海洋性地殻のS 波速度異方性構造を推定する手法を確立し、北西太平洋の遠洋域(変形前)とアウターライズ域(変形後)に設置された計350点の海底地震計観測網の記録を用いて、(2)変形前後に渡る等方的な構造の変化の調査と異方性構造の推定を行った。この結果、海溝近傍では遠洋域に比べて基盤やモホ面などの境界面が不明瞭で、本研究では、亀裂・正断層、水の流入・プチスポットによって構造が複雑化していると解釈した。
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