研究実績の概要 |
今年度はこれまで行ってきた気体吸収過程の基となる気体吸収テーブルの作成法についてパッケージの整備を行っている。パッケージは大きく分けて3つに分かれている。吸収データベースHITRANと連続吸収プログラムMT_CKDから導出した吸収係数をMstrnXの伝達過程に当てはめてLBL計算を行うMstrnX_LBLパッケージ、同じく吸収係数をバンド領域で並び替えてk-分布を作成するk-分布作成パッケージ、LBL計算の結果に合うようにk-分布の積分点と重みを決定する最適化パッケージである。気体吸収テーブルは28年度に更新を行ったが、今回の整備は気体吸収テーブルの次回の更新を見据えたものであり、昨年度確認した波数、気圧や温度の解像度や内挿法などの様々な更新点が含まれている。 また、散乱過程については、降雪粒子や降雨粒子の放射影響を導入するため、これまでも検討を続けており、降雨粒子としてサイズパラメーターが25000までの球形散乱を適用できるように変更を加えてあるが、今年度は雲氷粒子として六角柱、降雪粒子としてaggregateの形状を仮定し、Yang et al. [2013]の散乱データベースをMstrnXへ適用できるよう変更を加えた。従来も六角柱粒子は適用可能であったが、元になっているデータは古いもの (Yang et al., 2000,2005)であったため、同時に更新した。この更新により、等価体積半径が500μmまでの粒子の散乱が可能となった。 また、今年度はイギリスのReadingで行われたRFMIP(放射強制力のモデル間相互比較プロジェクト)に参加し、放射伝達モデルの研究者と意見を交わし、他国で開発されている放射伝達モデルについて情報を収集した。
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