研究実績の概要 |
本研究は、多種多様な観測データを統合的に解析し、データ間の差異を精緻化してその要因を特定し、観測・物理過程の両者に裏打ちされた堅牢な成層圏大気像を得ることを目的としている。 本年度は当初の計画通り、最新の衛星データ(SABER, MLS, GPS)と再解析データ(JRA55, JRA55C, JRA55AMIP, MERRA2, MERRA, ERA-Interim, CFSR)の日変動成分を抽出・解析し、成層圏大気の日変動成分について相互比較を行った。日変動成分は、(1)一日周期・太陽同期成分、(2)半日周期・太陽同期成分、(3)太陽非同期成分、にわけて比較を行った。 まず一日周期・太陽同期成分については、再解析データ間に大きな差異は見られない一方、衛星データ(特にSABER)と再解析データ間で、特にの振幅に有意な差があることが明らかになった。続いてその要因の検討も行った。JRA55-family(JRA55, JRA55C, JRA55AMIP)データを比較解析することにより、再解析データにおけるデータ同化過程の影響を見積もった。その結果、これらの影響は小さく、衛星観測データ側に問題がある可能性が排除できない。一方、半日周期・太陽同期成分や太陽非同期成分についてはデータ間の差は小さかった。 これらの結果は、再解析比較プロジェクト(S-RIP)の国際学会で発表した。現在投稿論文を執筆中である。
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