研究実績の概要 |
昨年度からの研究を発展させ、7種類の再解析データ(MERRA-2, MERRA, JRA55, JRA55C, JRA55AMIP, ERA-Interim, CFSR)(期間:2006-2012年の7年間)と衛星観測データ(SABER, MLS)を用いて日周期変動に関する解析を行った。具体的には(a) 太陽同期一日潮汐、(b) 太陽同期半日潮汐、(c) 太陽非同期潮汐、の各成分について詳細なデータ間比較を行った。その結果、(a)についてはSABER衛星とその他(再解析・MLS衛星)で上部成層圏に有意な差が見られることが分かった。はっきりした原因は不明だが、これまで観測値として信頼されてきた衛星観測自身に問題がある可能性がある。一方(b-c)については、データセット間で系統的な差は見られないことが明らかになった。 さらに、再解析データの大気潮汐の長期変化(1980年-2010年の30年間)についても調べた。その結果、精度の高い衛星観測が始まる以前(2000年以前)のデータは大気モデルへの依存度が強く(つまり、同化される観測データへの依存度が小さく)、再解析データ間のバラつきが相対的に大きくなっていることが明らかになった。この結果は、再解析データを用いたトレンド解析の結果に注意を促すものである。 上記の結果はS-RIP(再解析比較の国際プロジェクト)の国際会議で発表を行い(口頭発表)、現在ジャーナル論文を執筆中である。 さらに、再解析データの大気潮汐の位相の季節変化を調べたところ、視太陽時(Apparent solar time)の季節変化(つまり、太陽の南中時刻の季節変化)を考慮する必要があることが明らかになった。現在ジャーナル論文に投稿中である(Hamilton and Sakazaki, 2017)。
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