研究実績の概要 |
昨年度からの研究の継続で、7種類の再解析データ(MERRA-2, MERRA, JRA55, JRA55C, JRA55AMIP, ERA-Interim, CFSR)(期間:2006-2012年の7年間)と衛星観測データ(SABER, MLS)を用いた日周期変動に関する解析結果をまとめ,国際ジャーナル論文として公表した(Sakazaki, Fujiwara and Shiotani, 2018).成層圏内の日周期成分について,網羅的に調べた初めての論文である.再解析データにおける日周期成分の再現性は,同化されるデータの多い中部成層圏より下層では非常に良いが,上部成層圏よりも上層ではモデル依存性が強い.また,同化されるデータは均一でないため,長期トレンド解析に向かないことも分かった.また,上記の結果を元に,再解析比較プロジェクト(S-RIP)の最終レポート執筆にも貢献した. さらに,主に成層圏で励起され,地上に伝播する半日周期潮汐の地上気圧シグナルを調べたところ,その位相の正確な同定には視太陽時(Apparent solar time)の季節変化(つまり、太陽の南中時刻の季節変化)を考慮する必要があることが明らかになった。国際ジャーナル論文として公表した(Hamilton and Sakazaki, 2017a)。 下部成層圏に伴う東西風の準二年周期変動(QBO)の位相を,過去の火山噴火後の"特異な"夕焼けの観測記録から推定する研究に参画した.この際,1991年ピナツボ山噴火の際の再解析データを用いて,夕焼けの記録から推定した東西風速が妥当であることを検証することができた(この検証に基づき,近代気象観測以前のQBOの位相を, 1883年(Mt. Krakatau),1901年(St. Vincent & Mt. Pelee)の火山噴火の際の夕焼け観測に基づいて推定した)
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