本研究では金星大気中に存在する惑星規模大気波動の発生、伝搬、そしてスーパーローテーションと呼ばれる金星特有の高速東西風への影響に着目をして、データ解析と理論両面から研究を実施した。我が国の金星探査機「あかつき」の熱赤外観測データ、および地上大型望遠鏡を用いた金星の熱放射観測により、地形に固定された巨大な波動現象が雲頂高度に現れること、それが何度も発生していることを初めて明らかにした。加えて従来から知られていたケルビン波、ロスビー波においても、東西風速の時間変化に合わせて伝搬のしやすさを変え、異なる時期に異なる加速・減速を金星大気に与えうることを理論・観測両面から新たに示した。
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