研究課題
本研究では地球磁気圏の電子密度の濃い領域であるプラズマ圏で観測されるホイスラーモード・ヒス放射の生成起源を解明するために,self-consistentな電磁粒子シミュレーションを用いて,地球不均一磁場モデルおよびプラズマ圏パラメータを取り入れることにより計算機実験の実施を行った.シミュレーション結果は磁気赤道付近への不安定な温度異方性を持つ数十keVの電子の注入により,広帯域な周波数においてホイスラーモード波動が励起することを確認した.励起波動の周波数は観測と同様な周波数帯であり,かつ広帯域に励起されることを確認した.これは観測と同様な結果であり,生成機構の特定を強く促進する結果となった.さらに励起波動は周波数変動を伴う非線形成長の面を見せることが明らかとなった.過去の衛星観測,生成理論ではヒス放射は異なるモードでの波動が伝搬することにより存在,またはその場における成長など多くの考えが存在し現在も広く議論されているが,本シミュレーションによりヒス放射のその場成長を強く示唆することとなり,ヒス放射の生成原因に大きな知見を与えることが出来た.また,近年打上げられた日本の地球磁気圏観測衛星ERGにおいても多くのヒス放射を観測しており,ヒス放射の取得のために観測および受信計画の段階から深く参加してきた.最新の観測機器によるデータの取得により波形レベルでのシミュレーション結果との比較が可能となり,本シミュレーション研究の重要性を示すことが出来た.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Earth, Planets and Space
巻: - ページ: -
https://doi.org/10.1186/s40623-018-0856-y
https://doi.org/10.1186/s40623-018-0842-4
https://doi.org/10.1186/s40623-017-0771-7
https://doi.org/10.1186/s40623-018-0838-0
https://doi.org/10.1186/s40623-018-0839-z