研究課題
近年、宇宙機からの極端紫外線による惑星観測技術が確立し、将来計画においてその必要性が高まりつつある。一方、従来の装置設計で達成できる性能はすでに上限に達しており、将来計画に向け新たな突破口が必要であることもわかってきた。本研究では可視光用の画像素子であるCMOSイメージセンサを応用した新型の極端紫外線検出器を開発する。今年度は本研究の核となる、光を伝送するためのファイバーオプティクスプレート(FOP)とCMOSイメージセンサの結合技術の確立を目指す。昨年度はカバーガラス除去済みのCMOSセンサとFOPの結合試験を実施し、その健全性や探査機への搭載性を確認した。さらに分解能を最大限に向上するための接着工程を見出し、FOPとCMOSセンサの結合技術を確立させた。今年度はそれらの成果を活かし、マイクロチャンネルプレート (MCP)、蛍光面、FOP、およびCMOS素子をすべて組み合わせた検出器全系の試作を行った。波長115nm以下のEUV領域では透過材が存在しないため、これらの波長域でも感度をもつようにMCP部には蓋開閉機構付の真空容器を採用し、直接MCPに入射させられるように工夫した(露出型)。課題であった真空容器とFOPの結合について気密試験を行い、十分に真空状態を保持できることを確認した。また検出器全系に紫外光を入射し、本試作機が健全に動作することを確認した。本成果により本研究計画の目標であったMCPとCMOSセンサを用いた新型検出器の開発を確立させることができた。将来の惑星探査や系外惑星観測計画に向けてその地平が拓けたことは間違いない。
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すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Proceedings of SPIE
巻: 9905 ページ: 99053G-1-6
doi:10.1117/12.2232183