研究課題
本研究では,地質体境界に分布することが多く,その地質学的な重要性が指摘されてきたものの化学組成・年代などに基づく区分が難しいと考えられている蛇紋岩について,精密な白金族元素組成分析に基づく化学的特徴の地域性の把握をすること,またこれまで直接の年代決定が困難であったが,硫化物鉱物などを含む不透明鉱物を対象として局所Re-Os年代測定法を適用し蛇紋岩の形成時期を決定する方法を確立することを目的とした.また確立した手法を黒瀬川帯,南部北上体などの国内の代表的な蛇紋岩体に適用し,その有効性を検証することを目標とした.前年度判明した,炭化タングステン製の振動ミル試料容器使用による,Nb,Ta,Hfなどのコンタミネーションを抑制するため,アルミナ製試料容器を用いた試料粉砕を実施した.またその粉末試料を用いて低希釈率ガラスビードを作成し,波長分散型蛍光X線分析装置による主要・微量元素組成分析を行い,良好な結果を得た.白金族元素同位体の局所分析には,マルチコレクタ誘導結合プラズマ質量分析計を用いた分析条件を精度よく決定する必要があるため,それを標準溶液試料を用いて検討することを前年度に続いて実施した.また,前年度の黒瀬川帯・熊本県八代市などの蛇紋岩体調査の比較対象として,三郡周防変成帯・福岡県篠栗町などの蛇紋岩体調査を実施し,地質調査と岩石採取を実施し,白金族元素・同位体に基づく岩体区分の検証に必要な試料を確保した.
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地質学雑誌
巻: 123 ページ: 879-906
Journal of Asian Earth Sciences
巻: 156 ページ: 122-144