地震時に断層近傍で引き起こされる「地震同時性化学反応」を実験室的に再現・定量化することを目的とし、断層運動の場を模擬した急速加熱試験機を製作し石炭を含んだ岩石について実験を行った。 その結果、瞬間加熱時の石炭熟成反応の進行度は概ね過去に提案されている化学反応の速度論で説明できるものの、定常加熱試験に比べて、その反応進行度において大きなばらつきを示した。特に加熱時間が短いものほどこのばらつきは顕著であった。これは、反応時の脱ガス過程など、物質の移動速度が強く律速しているためと考えられる。物性の不均質をなくした標準物質での検証により、瞬間反応時の律速過程を明らかにすることが可能であると期待される。
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