研究課題/領域番号 |
15K17783
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
宇野 正起 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (50748150)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 剪断クラック / 流体流れ / 力学ー化学ー水理学 / 歪み分配 / 反応帯 / エシュロンクラック |
研究実績の概要 |
本年度は三波川変成岩中の剪断クラックの調査・分析,サンアンドレアス断層直上レッドウッド蛇紋岩岩体のクラック解析,東南極セールロンダーネ山地の反応帯の熱力学解析から,脆性-塑性遷移付近でのクラック生成様式と物質移動のカップリングを明らかにし,反応帯の化学ポテンシャルプロファイルを作成した. 三波川変成帯では,脆性-塑性遷移付近の剪断クラック・エシュロンクラックの調査を行った.露頭での空撮マルチコプターによる幾何学形状測定,および岩石サンプルの室内X線CT解析から,せん断面として機能している片理面の端で,エシュロンクラック群がロッド状に発達していることが明らかになった.これらの観察から,片理面の剪断滑りにより,せん断面の先端でエシュロンクラックが生成する,新たなクラック生成様式を提唱した. サンアンドレアス断層直上レッドウッド蛇紋岩岩体の調査では,流体流入に伴う吸水反応により約7%の歪が発生し,その内4%は物質移動により,残りの3%は脆性破壊により緩和されていることを明らかにした.これらの解析から,流体流入に伴う物質移動によりフラクチャーパターンが変化しうることを示した. 東南極セールロンダーネ山地の岩石ー水反応帯では,前年度の成果を国際誌に投稿した.また,反応帯をモデル化するために,局所熱力学分析を行い,反応帯に沿った化学ポテンシャルのプロファイルを明らかにした.この化学ポテンシャルプロファイルにより,多成分多相系における反応帯形成のフォーワードモデルを構築中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,脆性-塑性転移付近での剪断滑りとクラック形成の関係を明らかにすることができた.また,物質移動とフラクチャーパターンの関係性を天然のフィールドで具体的に解析することができた.多成分多相系における反応帯形成モデルも構築中である.一方で,三波川変成帯の剪断クラックは,複数の形成ステージが観察され,一部は形成後の変形を強く受けており当初の予想よりも複雑である.そのため,流速や応力の解析に時間がかかっている.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度までに明らかになった各鉱物脈の幾何学分布を基に,各鉱物脈の化学組成分析,粒径分布解析を進め,流体総流量・流速・応力の制約をおこなう.また,幾何学分布を基に岩体全体の透水係数を見積り,得られた流体流速・応力との整合性を検証し,剪断クラックの力学ー水理学関係を解明する.
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