本課題では,地殻深部における岩石-流体破壊現象の天然岩石サンプルから,時間スケール・流体圧分布・透水係数を求める,新たな解析手法を開発した.中部から下部地殻の岩石-流体反応帯を解析し,流体流入の時間スケールが数時間~数日程度と非常に短いこと,亀裂から母岩へ数 kbar/cmの高い流体圧勾配が存在したこと,透水係数(log10 [m2]単位)は亀裂で約 -15と高く,母岩で約 -20 ~ -23と非常に低いことを明らかにした.以上より,地震波で観測される数時間~数ヶ月の流体移動現象と,地質学的に観察される剪断クラックを,具体的な時間スケールと水理学特性により対応づけることが可能となった.
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