マントル遷移層の主要構成鉱物であるワズレアイト、リングウッダイトはその構造中に最大3重量%程度の水を取り込みうる。本研究は、地球の上部マントルから遷移層において、高圧相間の水素結合の強さの違いを反映して、水素の同位体組成に不均質が生じうるのか、その可能性を探ろうとしたものである。 実験では上部マントルの主要構成鉱物であるオリビンとワズレアイト間において、高温高圧下における水素同位体分配係数の決定を行った。その結果、ワズレアイトにより重水素が濃集することが明らかになり、遷移層が重い水素のリザーバーとして地球深部における水循環の中で重要な役割を果たすことが示された。
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