本研究はNaを含む火成メリライトの成因を鉱物組成・化学組成から把握したうえで,二次イオン質量分析装置(SIMS)及び希ガス質量分析装置を用いた同位体分析を行った.これらの分析でNa-22の放射壊変起源Ne-22を持つ可能性のあるメリライト結晶を見つけ出し,局所希ガス同位体分析によって,原始惑星円盤中で生成されたNa-22の痕跡を探る. 本研究では,火成メリライト候補の探索・観察を行い,Allende隕石中から火成メリライトを発見した.このCAI試料を分割し,ひとつはその場分析用,もう一つを希ガス同位体分析用に資料を作成した.そして,これらのメリライト結晶の化学組成を電子顕微鏡・エネルギー分散型X線分光器を用いて主要元素の観察を行った.しかしながら,Naの濃度は検出限界以下であったため定量することはできなかった.SIMSによって太陽宇宙線の照射の有無を見積もるBe-B測定,CAI形成年代に対応すると考えられるAl-Mg年代を行った.Be-B系ではBe-10の過剰が見られ,先行研究の結果と比較するとこのCAIは典型的なBe-10を保持していたCAIであることが分かった.またAl-Mg年代は最古のCAIよりも9万年ほど若い年代を示した.そして,希ガス同位体分析の結果,明らかなNe-22の過剰がNe同位体分析によって明らかになり,このCAIは太陽起源の高エネルギー粒子の照射によってNa-22がCAI形成領域で生成されていたとこが明らかにできた.CAIからNa-22を見つけたのは世界でも初めての成果である.
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