隕石に含まれる有機物は,隕石母天体である小惑星の熱履歴の情報を保持していると考えられている。本研究は,隕石中の有機物の「脂肪族炭素の減少」及び「芳香族化度の増加」の2つの独立した指標を用いて,小惑星の熱履歴を推定することを目的とする。 まず,芳香族化度の増加から熱履歴の指標とするために,あまり加熱を受けていない隕石の加熱実験を行い,ラマン分光法によりスペクトルの変化を調べた。しかし,精度よく速度論パラメータを決めるために十分な測定点がまだ得られていないため,今後も継続して実験を行う必要がある。また,比較的短期間の加熱を受けたと考えられている2種類の隕石について,暫定的に加熱温度・時間を求めた。
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