大型氷天体の主要な内部構成物質は氷の高圧相であると推測されている。それらの自己拡散係数を決定することによって、低応力条件での塑性変形流動則を推測することが目的である。まず、氷中の同位体トレーサー濃度を顕微ラマン分光法で決定する方法を開発した。この技術をダイヤモンドアンビルセルを使った高圧実験に応用し、高圧氷の拡散実験を実施できるようにした。高圧氷VI相とVII相の水素と酸素同位体トレーサーの拡散実験を300~425 K,~17 GPaまでの温度圧力条件で行った。この結果を基にして、拡散クリープ領域での塑性変形流動則を導き、その温度依存性から氷天体内部の高圧氷層で対流が起きる条件を導いた。
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