研究課題
本研究計画では、代表者らがこれまでに開発してきたアイソクロン法によるカリウム・アルゴン年代のその場計測装置を発展させることで、誤差5%での年代計測技術を立証することを目指した。具体的には、レーザー誘起発光分光法(Laser-induced Breakdown Spectroscopy)によるカリウム濃度計測のために紫外レーザーを導入すると共に、 平行光源とカメラを使った簡便な試料重量計測法を新規に開発することで、試料中のカリウム絶対量を誤差10 %で計測する技術を確立することを目指した。上記の目的を達成するために、まず真空容器中の岩石に対して波長266 nmの紫外パルスレーザーを照射する光学系を構築した。このために、紫外光発生用の光学結晶を導入し、紫外光反射用のミラーとレンズによって光学系を構成した。次に、試料表面を観察して岩石の掘削孔の体積を求めるため、一定の角度から平行光を照射する照明光学系と、試料観察用の光学系を製作した。これらに加えて、プラズマの発光を効率よく分光器に導くための集光光学系を製作した。これらの光学系が完成したところで、5個のカリウム濃度標準試料(カリウム濃度300 ppm~5重量%)に対して発光スペクトルを取得した。発光スペクトルからは、制動放射に伴う連続発光成分と比較するとカリウム発光輝線が相対的に強く、高い信号/背景光比を持つことが観察された。このことは、カリウム計測のノイズ成分を低減できることを示唆する。また、レーザー照射一回当たりの蒸発量が、従来型の赤外レーザーを用いた場合よりも少なくなることが確認された。このことは、紫外レーザーが岩石をより精密に蒸発させることを示唆する。得られたカリウム濃度検量線は、赤外レーザーを用いた場合と定性的には似た挙動を示し、検量線法によるカリウム計測が可能であることが示唆された。
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Transactions of JSASS, Aerospace Technology Japan
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