研究課題
ミラー磁場閉じ込めプラズマの上限イオン温度を決定し得る因子であるアルベンイオンサイクロトロン(AIC)波動の境界条件およびミラープラズマの非等方性緩和機構を解明するために、初年度は、高温プラズマ内部領域の高精度波動計測が可能な計測器の整備を中心に進めた。測定対象であるGAMMA10ミラープラズマに調整したマイクロ波反射計を導入し、反射波に含まれるMHz帯の高周波揺動の振幅・位相変調成分の完全な分離に成功し、AIC波動に伴う密度揺動の振幅・位相の径方向分布が得られた。また、径方向および磁力線方向に離れた2点での同時計測において、コヒーレントな密度揺動信号が得られた。GAMMA10におけるAIC波動が、境界条件で拘束されるグローバルモードとして励起されていることを実証する実験結果であり、波動構造を調べる上で有効な計測手法であることが示された。また、得られた密度揺動信号にバイスペクトル解析を適用することで、(1)GAMMA10の特に中心領域において、複数励起されるAIC波動間の相互作用で差周波揺動が生成されていること、(2)周辺部において100kHz以下の低周波揺動との結合が顕著であり、観測されるスペクトル幅の広がりが周辺領域での背景プラズマ乱流との相互作用で生じていること、が示唆された。(1)で励起が初めて確認されたAIC波動間の差周波数は、装置端部で計測した高エネルギーイオンの総量の時間変化にも現れており、非等方性緩和に関与するチャネルの理解が進展した。
2: おおむね順調に進展している
本研究で重要となる高温プラズマ中の波動構造計測に必要となる計測器が整備され、妥当性を実証する実験結果も既に得られている。計画通りに進展しており、次のステップへの移行が順調に進んでいる。
マイクロ波ホーンアンテナアレイの増設、マイクロ波スイッチおよび制御システムの整備により、マイクロ波反射計を軸方向多点計測システムへと拡張する。次に、GAMMA10に既設の三系統ICRF加熱システムの配位を変更し、温度非等方度分布を積極的に変えながら確立されたAIC波動の空間構造計測を適用する。パラメータ分布変化による空間構造の遷移情報、3次元波動解析コードを用いた計算等からAIC波動の境界条件の解明を目指す。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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