本研究では,サブキロテスラから数十キロテスラの磁場印加下における超高強度レーザーと高エネルギー密度プラズマとの相互作用の磁場に依存したドラスティックな変化を特徴的な現象ごとに分けて系統的に研究を進めることで,その物理を明らかにすることを目的としている. ラーモア半径がレーザースポット径よりも小さくなるようで磁場およびレーザーの条件であれば,レーザー生成高エネルギー電子が磁力線に沿ってガイドされることを示した.そして,ラーモア半径がレーザーのフィラメントサイズよりも小さくなるような磁場およびレーザー条件であれば,レーザー生成高エネルギー電子のフルーエンスプロファイルにフィラメント構造が反映されることもわかった. 電子サイクロトロン共鳴が起こる磁場よりも十分に強い磁場をかけた場合には,レーザーの右回り円偏光成分がホイッスラー波として高密度プラズマ中に伝播するが,それは先頭のパルスのみであり後続のパルスはイオン音波の生成によって阻害され侵入できなくなることを明らかにした.さらに,この伝播阻害現象のレーザー強度および磁場依存性を調べ,磁場を強くかけるほど,レーザー強度を下げるほどイオン音波の成長が遅くなり,高密度プラズマ中に伝播できるレーザーのパルス幅が伸びることがわかった. この研究は今後ますます精力的に実験が行われるであろう,強磁場下における超高強度レーザープラズマ相互作用実験のシミュレーションによる先駆的研究として位置づけられ,今後行われる実験の指針となる.
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