固体高分子形燃料電池(PEFC)において、燃料電池の起動・停止動作によるカソード電極触媒の劣化が喫緊の課題の一つとなっている。その触媒劣化の主要因は炭素担体の腐食によると考えられ、空間全体に斑を持って広がっていることがわかっているが、詳細な原因と劣化機構は明らかでない。そのため、次世代高耐久PEFC開発のために、触媒粒子の劣化がどのように空間的に広がっていくかをその場3次元解析することが望まれている。本研究は、新たに開発したin-situ XCT-XAFS法を用いることで、起動・停止動作による触媒劣化を3次元空間でin-situ(オペランド)解析し、詳細な劣化要因とメカニズムを解明することを目的としている。 2015年度においての測定で、in-situ XCT-XAFS測定を行いながらのアノードガス交換によって、燃料電池の性能低下が想定されるものよりも大きく減少してしまうことがわかった。これはXCT-XAFS測定のために長時間X線を照射し続けたためによるX線照射ダメージであると考えられる。そこで2016年度では、まずin-situ XCT-XAFS測定の測定時間短縮および照射X線強度をX線照射ダメージが無い状態になるまで、かつCT解析が可能な限りX線照射量を減少させる測定条件の探査を行った。その結果CT測定を行ってもMEAに対してX線照射ダメージを与えない測定条件を得ることが出来、その条件の下アノードガス交換を行いながらin-situ XCT-XAFS測定を行った。その結果、アノードガス交換を行うに従い、Pt量が増えていく領域と減少していく領域の二つがあることがわかった。Pt量が増えていく領域はもとのPt価数が低く、Pt量が増えていくに従いPt価数が減少し、Pt量が減少していく領域ではPt価数が高い状態であることがわかった。
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