本研究で開発した時間発展法は、演算子の変換により、最も時間発展計算のしやすいエネルギー・時間軸に変換して計算を行うという新奇な視点での手法である。このため、従来の時間発展法で精度を保つために必要だが計算コストのかさむ高次項の計算が不要であり、計算コスト削減に成功した。また、従来法では高次項を打ち切り近似計算を行うが、本手法では打ち切りを含まずユニタリー性を維持した高精度な計算ができる。本手法は、量子現象を記述する時間依存Schroedinger方程式だけでなく拡散方程式や反応速度式に対しても拡張できる、汎用性が高い手法であり、様々なシミュレーションの計算コストを大幅に削減できると期待される。
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