研究課題
近年、新たなπ共役骨格の開発を目指した研究が盛んに行われており、ポルフィリノイドは様々な分野で広く活用が期待されている骨格である。加えて、硫黄やケイ素、リンといった典型元素をπ電子系に組み込むことは、典型元素に由来する新たな物性を発現しうるとして注目されている。本研究では、ヘテロールが縮環した新奇なポルフィリノイドの開発を目指し、検討を行った。新たなヘテロール縮環ポルフィリンの合成法を確立すべく、ハロゲン化されたポルフィリンからの合成法の検討を行っていたところ、ポルフィリンのβ位にアリールアセチレン骨格を導入した化合物の合成が可能であることを見出した。加えて、ホスホール縮環ポルフィリンの合成検討の途中、ポルフィリンの周辺部にホスホールを導入した化合物も合成できることを見出し、ホスホールとポルフィリンの間の相互作用について検討を行った。また、環拡張ポルフィリンの一種であるヘキサフィリンに対してチオフェン環を縮環させた化合物の合成にも成功し、その共役系を環状π共役系と交差共役系との間で切り替えることが可能であることを見出している。さらに、新たなホスホール縮環ポルフィリノイドの合成検討を行っている際に、興味深い化合物が得られることを見出した。この化合物はドナー部分を導入すると、ホスホールのようにアクセプターとして働く一方、アクセプター部分を導入すると、チオフェンのようにドナーとして働くことを見出した。このように、ヘテロール骨格をもつ新たなポルフィリン化合物や、興味深い性質をもつ縮環ホスホール化合物の開発に成功した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)
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