研究課題/領域番号 |
15K17825
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
森 重樹 愛媛大学, 学術支援センター, 助教 (30572028)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 二環性骨格 / 希土類金属錯体 / ポルフィリン / 積層型金属錯体 / 包摂錯体 |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は、二環性骨格の2つの特徴を活かした新規化合物の創成、並びに新物性発現である。 特徴の1つ目は”骨格変換”であり二環性骨格、その中でもビシクロ[2.2.2]オクタジエン(BCOD)の特異的な反応性に着目している。それを利用した共役拡張化合物の効率合成、その反応より得られた化合物を配位子とする、積層型希土類金属錯体の構築と物性解明を実施した。特徴の2つ目は”構造剛直性”であり、複数の二環性部位を適切な位置に配した連結型共役系によるナノ空間の形成、超分子化学相互作用に基づく曲面構造を有する無置換フラーレン類・カーボンナノチューブの構造識別を検討した。以下に今年度までの成果を挙げる。 1)縮環ベンゼンの個数が1-4個である、全ての種類のベンゾポルフィリンを配位子とする三層型金属錯体の合成方法を確立することに成功した。金属はこれまでのLa(III)に加え, Tb(III)でも収率向上の検討を行った。それぞれ対応する前駆体であるBCOD縮環ポルフィリンからの収率は、La(III)錯体で80%以上、Tb(III)錯体で65%以上であった。また二層型金属錯体を得るため、BCOD部位の二重結合を還元したポルフィリンを用いたところ想定通り二層型金属錯体が選択的に得られた。 2)フルオランテンを有したピンセット型分子によるC60,C70の会合定数を算出し、またピンセット型分子の反応性に着目し、それをビルディングブロックとした新規構造体の構築を検討した。 3)以前に合成が完了していたキラルな連結部位をもつポルフィリン二量体のキラル分割の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたベンゾポルフィリン三層型希土類金属錯体の合成方法の確立、個々の錯体のキャラクタライズ(元素分析、各種分光学測定、電気化学測定による酸化還元挙動、単結晶X線構造解析)が完了できた。特に非磁性錯体であるLa(III)錯体では、1H-NMR測定による溶液中での挙動を調査できるため、その特徴的な構造を明らかにすることが出来た。 これらの研究成果を基に、学会、討論会に参加し意見交換を行った。化合物の合成とともに物性評価等も順次行っており、順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、これまでに合成してきた化合物の物性解明に取り組む予定である。三層型金属錯体では、1H-NMR測定による構造同定が可能な点を活かし、温度変化による動的挙動を明らかにする予定である。また二層型金属錯体については共同研究者と磁気的性質の解明を行っている予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
残額が少額のため、次年度の予算と合算して使用予定。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の計画通り、試薬、汎用ガラス器具の購入、並びに成果発表に使用予定。
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