研究課題
本研究では、多孔性金属錯体と触媒を複合化することで、ガス分子の捕捉と変換が連動する新規ガス反応システムの構築を目指した。昨年度までに、その複合化に成功し複合体が水素ガスを用いた水素化反応に対して活性があることまで見出していた。そこで、今年度は、その複合体の複合化状態および反応性の詳細について調べた。複合体の詳細を調べるためにX線光電子分光測定をおこなった。その結果、細孔内に導入された触媒の中心金属の電子状態は導入前のものとほぼ同じであったものの、触媒に組み込まれているリン系配位子が複合化の段階で一部外れていることが明らかとなった。触媒はリン系配位子が外れることにより配位不飽和状態になることから、これにより触媒の反応活性が向上していることが示唆された。さらに、細孔内の触媒の安定性について調べてみたところ、触媒は反応に用いた後も安定であり、その反応活性は維持されることがわかった。つまり、多孔性金属錯体は高い速度論的安定化効果があることが明らかとなった。活性を維持した状態で安定的に触媒を固定化できる本システムはさまざまな触媒系への展開が期待できる。さらに、本複合体触媒の触媒活性を詳細に評価するために、低圧水素ガス条件下にて水素化反応をおこなった。その結果複合体触媒を用いた場合には、水素分圧0.25 atm以下においても反応が十分に進行することが明らかとなった。触媒のみでは同条件にて反応がほとんど進行しないことから、本反応システムがガス分子変換反応において非常に有用であることが示唆された。
ナノ材料科学研究室http://www.konan-u.ac.jp/hp/FIRST_nanomaterials/
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