研究課題/領域番号 |
15K17839
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
有賀 寛子 北海道大学, 触媒科学研究所, 助教 (90570911)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 担持金属触媒 / 金属酸化物 / TiO2 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、担持合金ナノ粒子の触媒特性の発現機構を明らかとすることである。そのために、原子レベルで構造が既定された単結晶上へ、雰囲気制御下で合金ナノ粒子を担持することで担体と合金ナノ粒子の界面での相互作用を制御する。測定は、走査プローブ顕微鏡を用い、担持合金ナノ粒子の構造や電子状態、触媒反応を直接観察し、X線吸収分光法や理論計算により合金ナノ粒子の内部構造も明らかにする。具体的には、TiO2単結晶上のCuPdナノ粒子について、触媒特性を発現する構造・電子状態を明らかにする。ここで確立した手法により、担持合金ナノ粒子触媒設計に指針を与えことを目標とする。 本年度は、基板となるTiO2表面の構造について詳細に検証した。これは、前年度終盤、基板となるTiO2(110)表面(1×2)構造について新しい構造モデルが(Q. Wang, A. R. Oganov, Q. Zhu and X. F. Zhou, Phys. Rev. Lett., 2014, 113, 266101.)理論計算により提案されたため、本年度はその構造モデルを実験的に検証する必要性が生じたためである。理論計算からは、当初提案されていた構造の対称性が崩れた構造であることが予想されていたが、反射高速陽電子回折法を用いて、実験的に解析することで、0.1Åの精度で構造を決定し、報告した。 また、次年度反応実験に用いる超高真空装置の開発を完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、基板となるTiO2(110)表面(1×2)構造について詳細に検証した。これは、前年度終盤、基板となるTiO2表面の構造について新しい構造モデルが(Q. Wang, A. R. Oganov, Q. Zhu and X. F. Zhou, Phys. Rev. Lett., 2014, 113, 266101.)理論計算により提案されたため、本年度はその構造モデルを実験的に検証する必要性が生じたためである。上述したように、反射高速陽電子回折法を用いることで、0.1Åの精度で構造を決定した。理論計算からは、構造の対称性が崩れるという傾向のみが示されていたが、実際の測定から構造を決められた意義は大きい。 また、次年度実施する反応特性を観測する装置のセットアップも完了した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、本年度0.1Åレベルで精密に規定した表面上での合金触媒の成長、また、反応特性を調べる。反応は本年度作成した昇温脱離装置を用いて観測し、また、電気化学特性も調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
ごく近年、基板となるTiO2表面の構造について新しい構造モデルが(Q. Wang, A. R. Oganov, Q. Zhu and X. F. Zhou, Phys. Rev. Lett., 2014, 113, 266101.)理論計算により提案されたため、本年度はその構造モデルを実験的に検証する必要性が生じたため、この構造解析を行った。そのため、予定していた担体金属などの試薬の購入を次年度に変更した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、本年度、厳密に解析した表面上での合金触媒作製、反応性を検証するため、前年度、予定していた担体金属などの試薬を購入する。
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