室温分子磁石開発の布石として、分子内に複数の有機ラジカル部位を持つ「マルチラジカルキレート配位子」の開発、および多核金属錯体の構築を行った。 (1)塩化銅(II), 臭化銅(II)との錯形成によって一次元鎖状錯体の構築に成功し、反強磁性的ではあるが、室温をはるかに凌駕する(1000 K程度の)ラジカル―遷移金属スピン間の磁気結合力を磁気測定および量子化学計算から明らかにした。 (2)希土類(III)塩との錯形成から新規二核錯体が得られ、マルチラジカルキレート分子内の二ヶ所の配位部位で、希土類イオンにも配位させることも可能であることを実証した。
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