研究課題
本年度は実際に構築した測定システムを用いて、単原子・単分子接合の電子輸送チャンネルの解析を行った。まず微細加工技術を駆使し、極低温超高真空下でMechanically controllable break junction 法を用いて金単原子接点を作製した。作製した金単原子接点に対してショットノイズのバイアス電圧依存性を計測し、ファノファクター算出を行った。ファノファクターの値と電気伝導度の値から、金単原子における透過率を算出し、金単原子接点は透過率が1である伝導チャンネル一つから構成されていることが実験的に示された。次にピラジン雰囲気下で金単原子接点のショットノイズ計測を行なった。ポイントコンタクトスペクトロスコピーを適用し、原子レベルで接合構造を規定した上でショットノイズ計測を行なった。ショットノイズ計測から得られるファノファクターと電気伝導度の値から、ピラジン存在下での金単原子接点の電子輸送に関与する伝導チャンネルの透過率の算出を行った。ショットノイズ計測により伝導度チャンネルの算出を行ったところ、ピラジン分子雰囲気下では、清浄状態とは異なり、金単原子接点は完全な透過率を持つ一つの伝導度チャンネルのみではなく、不完全な透過率を持つ付加的な伝導チャンネルが存在することが明らかになった。付加的な伝導チャンネルの存在は、ピラジン-金間の電子移動に由来する電子輸送経路に由来していると考えられる。以上より単原子接点における分子吸着効果の電子輸送経路に与える寄与を解明することに成功した。
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