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2016 年度 実施状況報告書

生体深部の三次元多色イメージングを実現する三光子励起発光型希土類金属錯体の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K17845
研究機関山口大学

研究代表者

鈴木 康孝  山口大学, 創成科学研究科, 准教授 (30634753)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード発光性プローブ / 希土類金属錯体 / 生体イメージング / 多光子吸収現象 / 非線形光学材料
研究実績の概要

平成28年度は、酸素センシング能を有する金属錯体を用いた多光子イメージングに取り組んだ。金属錯体としては、生体透過性の高い赤色で高効率に発光するイリジウム錯体を用いた。まず、イリジウム錯体の多光子吸収スペクトルを測した。その結果、750 ~1100 nm帯の波長域で、効率的に多光子吸収が生じることが明らかになった。この測定により、多光子励起に適したレーザー光源のスペックを明らかにでき、次世代の多光子顕微鏡の光源として期待されている1030 nmで発振するフェムト秒ファイバーレーザーで多光子励起可能、すなわち多光子顕微鏡観察が可能であることがわかった。
次に、市販されている1030 nmの波長で発振するフェムト秒ファイバーレーザーを組み込んだ多光子顕微鏡を自作した。通常の顕微鏡は、可視光を励起光として用いることが想定されているため、近赤外光を励起光源として用いると光源のロスが非常に大きくなった。顕微鏡で用いられているパーツを近赤外光に対する透過率、反射率が高い光学素子とすることで、大きなロスなく対物レンズまでレーザー光を届けられることを明らかに出来た。このように、1030 nmを光源として用いることに特化した顕微鏡を組み上げた。この顕微鏡を用いて、開発した金属錯体で染色したヒト由来の細胞の多光子励起顕微鏡観察を行った。その結果、明瞭な顕微鏡像を取得することができた。この結果は、Japanease Journal of Applied Physics誌に、学術論文として報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究で、フェムト秒ファイバーレーザーで多光子励起することが可能なプローブ材料を、10種程度見出しており、1000 nm帯での励起過程に必要な化合物の設計、開発に関する知見は、十分な蓄積が出来ている。さらに、本研究の過程で、新たな機能性発光プローブ材料の創出にも成功しており、研究は計画通り順調に進展している。

今後の研究の推進方策

今後は、細胞内の特定の部位をターゲッティングするための技術開発に取り組む。合成化学的な手法により、特定のタンパク質認識する部位を1000 nm帯で多光子励起を効率よく生じる配位子を取り付ける。これにより、異なる中心金属を有する希土類金属錯体を複数個細胞内に導入し、多光子、多色顕微鏡観察を行えるようにする。

次年度使用額が生じた理由

他の経費を用いて、いくつかの光学パーツを購入したため、その差額が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成29年度は、有機合成が必要なため、試薬の購入にあてる予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Biological oxygen sensing via two-photon absorption by an Ir(III) complex using a femtosecond fiber laser2016

    • 著者名/発表者名
      H. Moritomo, A. Fujii, Y. Suzuki, T. Yoshihara, S. Tobita, J. Kawamata
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 55 ページ: 092401-4

    • DOI

      https://doi.org/10.7567/JJAP.55.092401

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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