膜生産反応を促進する触媒は、あらかじめベシクルに封入する以外に方法がなく、内部で触媒を生産する系はあまり展開されていない。そこで本研究はベシクルを構成する膜分子の生産を促す触媒システムを、ベシクル内部で構築することを目的とした。イミダゾール塩酸塩を持つアルデヒドをベシクル外部より添加した結果、ベシクル内部のデシルアニリンと反応しイミン結合を持つ触媒分子が生成した。次いで、この内部に触媒を持つベシクルに、膜分子前駆体であるアルデヒドを添加すると、15時間以内にベシクル膜上で膜分子が生成し、ベシクルの外側の膜が剥離しながら増殖するピーリング様の自己生産挙動が微分干渉顕微鏡で観察された。
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