研究課題/領域番号 |
15K17863
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研究機関 | 公益財団法人相模中央化学研究所 |
研究代表者 |
巳上 幸一郎 公益財団法人相模中央化学研究所, その他部局等, 研究員 (40633574)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アライン / 重合 / 連鎖 / ポリフェニレン / 銅 / 触媒 / π-共役 |
研究実績の概要 |
芳香環をつなげて得られるポリフェニレン類は最も基本的な共役系高分子の一つであり、これまで有機薄膜太陽電池や有機トランジスタ、有機 EL などの有機エレクトロニクスの発展に大きく貢献してきた。ポリフェニレンはその置換位置によってオルト、メタ、パラ置換体が存在するが、メタ、パラ置換体に比べてオルト置換型ポリフェニレンの直接的な合成法は未だに確立されておらず、オリゴマーを用いた研究を除いて熱物性や電気的、光学的性質、フィルム特性や電気伝導度などの基本的な物性や機能はほとんど未開拓であった。一方で最近我々はポリ(オルトフェニレン)を効率良く与えることができる「アラインの重合」を見出した。そこで本研究ではアラインのリビング重合法を確立するとともに、未知であるポリ(オルトフェニレン) の系統的な物性、機能探索を行う。本年度はアラインのリビング重合法を確立するために反応に使用する塩基に関して主に研究をおこなった。その結果、無機系塩基であるフッ化カリウムやフッ化セシウムを用いた場合は得られたポリマーの分散が広かったのに対して、有機系塩基であるテトラブチルアンモニウムフルオリドを用いると得られるポリマーの分散が極めて狭くなることを見出した。また、末端停止剤を用いることで、ポリマーの生長末端に官能基が導入できることが MALDI-TOF mass から示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は異動が立て続きにあったため、新しい所属機関での研究の立ち上げと重なり、実験を順調に進めることができなかった。また、購入可能であったモノマーが販売中止となってしまったため、研究計画になかったモノマーの合成に多くの時間を取られてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまずはアラインの重合用モノマーの効果的な合成法を確立する。アラインのリビング重合達成に向けた取り組みとしては添加剤などの効果を調べる。また、モノマーの適応範囲(特に側鎖やモノマーの電子状態の影響)を調べる。リビング重合、ならびにモノマーの適応範囲の拡張を達成したのちにブロック共重合体などの合成を行い、ポリオルトフェニレンの基礎物性を探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定であったモノマーが販売中止になってしまったため、今年度使用予定金額と差が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
モノマーの原料となる試薬と耐圧反応管などのガラス器具の購入を予定している。
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