研究課題
本年度は、以下を行なった。(1)昨年度から継続して解析を進めていたコンプトン散乱法によるLixFePO4正極の電極反応メカニズムについて、論文発表を行ない、本研究課題の目的の一つであるLixFePO4正極材料のLi挿入に寄与する磁気特性の解明を果たした。(2) 市販のコイン型リチウムイオン電池を充放電させながら、コンプトン散乱X線エネルギースペクトルの測定を行なった。得られたエネルギースペクトルに、昨年度、我々が開発したSパラメータ解析法を適用することで、リチウムイオン濃度分布を得た。得られたリチウムイオン濃度分布から充放電に伴う電極の体積膨張・収縮によりセパレータ位置が変化することを観測した。また、充電時にセパレータと負極との界面付近にリチウムの偏析を示唆するリチウムイオン濃度の高い部分を観測した。さらに、充放電に正極と負極に寄与するリチウム量を定量するため、Sパラメータとリチウム量に関する検量線を用いてSパラメータからリチウム量を算出した。その結果、ICP分析で得られたリチウム量と同程度でリチウム量が定量できることを見出し、動作下におけるバナジウム酸化物正極とリチウムアルミ合金負極のリチウム量の変化を非破壊で同時に測定することに成功した。本手法は、物質透過能の高い高エネルギーX線を用いるため、実電池をそのまま測定できる点で大きな意義がある。(3) LixMn2O4正極材料の磁気コンプトンプロファイルの解析を行い、第一原理計算の結果と比較を行った。その結果、リチウム量xが、x=1の時、反強磁性となるが、xが1からわずかにずれることでフェリ磁性となることを見出した。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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