研究実績の概要 |
研究3年目である平成29年度は、昨年度までに開発した新規スチレン-ジビニルベンゼン(Sty-DVB)共重合体粒子を捕集剤に用いたデバイスを作製し、種々の半揮発性有機化合物(SVOC)に対する捕集効率・脱離効率を中心に検討を行なった。 具体的には、新規Sty-DVB粒子をガラス容器に充填して固相抽出型の捕集デバイスを作製し、大気中のセスキテルペン類のガスクロマトグラフ-質量分析計(GC-MS)分析を行なった。新規デバイスはセスキテルペン類を含む空気を40,000 L以上捕集可能な高い捕集効率と、捕集したセスキテルペン類を10 mLのジクロロメタンで99.9%以上回収可能な優れた脱離性能を有していた。 さらに、Sty-DVB粒子充填デバイスを大気中の多環芳香族炭化水素(PAH)の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析にも応用した。HPLC法はGC-MS法と比較すると、低い検出下限値と繰り返し再現性を得ることができた。一方で、トンネル試料等の比較的夾雑物が多い試料では、シリカゲルカラムによる前処理を行なっても、夾雑物によるPAHの定量への影響が見られた。 さらに、Sty-DVB粒子を充填した小型の捕集デバイスを開発し、室内空気環境中のフタル酸エステル類の定量分析への応用を実施している。
|