細胞増殖シグナルに関わるがん標的分子ERK2と、その既知薬剤であるFR、CAY、SCHを選択し、速度論パラメータにおける温度依存性を解析した。FRとの相互作用においては、その変異体解析の結果、遷移状態では結合サイト周辺で脱水和、及び分子内相互作用の切断による構造の緩みが起きていることが示唆された。さらにCAYとSCHの解析から、遷移状態における活性化エンタルピーはより不利に、一方活性化エントロピーはより有利に変化し、両者のエネルギー差の大きさと、阻害濃度や解離速度定数の低さに因果関係があることが示唆された。
|