研究課題/領域番号 |
15K17886
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
原 倫太朗 東京理科大学, 薬学部, 助教 (70709766)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 水中での化学反応 / DNA-templated synthesis |
研究実績の概要 |
本研究では、核酸オリゴマーの末端に適切な官能基を導入することで、核酸オリゴマーの「二本鎖の形成⇔一本鎖への解離」の変化が起こった回数に応じて、印がつくような分子を設計する。それにより、RNaseHがDNA-RNAを切断する際のターンオーバーが大きいもの、すなわはち、RNaseH活性が高い分子をスクリーニングする技術につなげることを目指している。 本年度は、核酸二重鎖の末端間で反応させることを想定している求電子性官能基と、求核性官能基の、リン酸緩衝液中での安定性、及び、両者の反応性について調査を行った。両官能基間の反応速度について調べたところ、求核性官能基の反応性が、水溶液のpHに大きく依存することが明らかとなった。実際に行うスクリーニングの条件は、RNase Hの至適pH、すなわち、7-8程度を想定している。そこで、求核性官能基の側鎖の構造について検討を行い、中性条件下(pH=7)で効率的に反応が進行するような系を見出すことができた。 一方、求電子性官能基については、上記求核性官能基との迅速な反応が確認できたが、一方で、水中、及びリン酸緩衝液中で、やや不安定であり、加水分解が起こることが明らかとなった。これを踏まえ求電子性の官能基についても、その種類や側鎖の構造についてさらに検討を行った。水溶液中で完全に安定な組み合わせについては見出せていないものの、側鎖のわずかな構造の違いでも、安定性が異なることが判明しつつある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
求電子性官能基の検討において、当初の想定よりも時間を要している。一方、求核性官能基については、順調に、良好な結果が得られており、官能基の選定の方向性をおよそ定めることができたため、この評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
まず、求電子性官能基について、さらなる検討を行う。 すでに性質を調べた求電子性官能基、求核性官能基については、核酸オリゴマーへの導入反応を検討する。さらに、これらの官能基を核酸オリゴマーに導入した後、各種官能基の安定性や反応性がどの程度変化するか、また、核酸塩基との反応など、核酸オリゴマー中特有の副反応が起こらないかを、詳細に調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した試薬の金額に差異が生じたたことと、余剰額が必要な消耗品の金額には満たなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
383円であるので、余剰分は消耗品として速やかに消費した上で、当初の計画通り、研究を進める予定である。
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