研究実績の概要 |
本研究では、光増感剤として機能する事が期待される多座カルボン酸有機配位子・金属錯体配位子をリンカーとしてループ・トライアングル・スクエア・ボックス型のポリゴナル状錯体を開発し、水の光分解反応における水素発生触媒としての応用することを目指している。本年度は、(1)昨年度開発したシクロメタレート型イリジウム錯体[Ir(ppy)2(dcbpy)]+ (ppy = 2-phenylpyridine, dcbpy = 2,2'-bipyridine-4,4'-dicarboxylate)とHalf-Paddlewheel型ロジウム二核錯体 [Rh2(O2CCH3)2(dtBubpy)2] (dtBubpy = di-tert-buthyl-2,2'-bipyridine)から構築されたスクエア状錯体による水素発生反応、(2)1,8-Anthracenedicarboxylate (ADC)で架橋されたループ状ロジウム四核錯体による水素発生反応、(3) ジベンズアクリジンジカルボン酸で架橋されたループ状ロジウム四核錯体の開発と水素発生反応に着手した。 (1)に関しては、可視光照射下での水素発生を確認した。また、発光スペクトルから分子内電子移動に由来する発光強度の著しい減少を確認する事ができた。 (2)に関しては、ロジウム四核錯体のみでの水素発生は観測する事ができなかったが、シクロメタレート型イリジウム錯体を光増感剤として触媒反応システムに加える事で、既存のロジウム二核錯体の水素発生効率を超える極めて高効率な水素発生を確認する事ができた。
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