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2017 年度 実績報告書

環動高分子材料の大変形・破壊メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K17905
研究機関東京大学

研究代表者

眞弓 皓一  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任講師 (30733513)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード高分子構造・物性 / 高分子エラストマー / 超分子 / ポリロタキサン / 力学物性 / 破壊力学
研究実績の概要

昨年度までに、環動ゲルでは可動架橋点がスライドする距離に応じて、破壊靭性が向上することが明らかとなっていた。当該年度は、偏光高速度カメラを用いることで亀裂周辺における歪み分布の可視化を行った。試料としては、軸高分子上における環状分子の被覆率が25%、5%の環動ゲルを用意した。環状分子被覆率が5%と低い環動ゲルは、被覆率25%の環動ゲルに比べて、環状分子のスライド可能距離が長く、より高い破壊靭性を示す。2種類の環動ゲルについて、亀裂先端周辺における歪み分布を偏光高速度カメラによるリアルタイム計測を行ったところ、被覆率25%の環動ゲルでは亀裂先端において著しい応力集中が観察されたのに対して、被覆率5%の環動ゲルでは、亀裂周辺における歪み集中が緩和されていることが分かった。この亀裂周辺における応力緩和機構は、亀裂先端における可動架橋点のスライドによる応力分散を示唆している。
さらに、alpha-シクロデキストリン(CD)とポリエチレングリコール(PEG)からなるポリロタキサンのCDにポリ-epsilon-カプロラクトン(PCL)を側鎖として修飾することで、無溶媒条件でもCDが凝集することなく、柔軟な環動エラストマーを作製した。構成成分の電子密度を比較すると、CDの電子密度がPEG・PCLに比べて高いため、X線散乱ではエラストマー中における架橋点であるCDの構造を可視化することができる。延伸下における環動エラストマーの小角X線散乱測定を行ったところ、エラストマー内部の架橋点配置・網目構造は変形下においても均一であることが明らかとなった。その結果、環動エラストマーは理想ゴム弾性体としての力学特性を有し、同様の化学構造を有する固定架橋エラストマーよりも高い伸張性を示した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Unusual Fracture Behavior of Slide-Ring Gels with Movable Cross-Links2017

    • 著者名/発表者名
      Chang Liu, Hirokazu Kadono, Koichi Mayumi, Kazuaki Kato, Hideaki Yokoyama, Kohzo Ito
    • 雑誌名

      ACS Macro Letters

      巻: 6 ページ: 1409-1413

    • DOI

      10.1021/acsmacrolett.7b00729

    • 査読あり
  • [学会発表] トポロジカル超分子複合体のダイナミクス2017

    • 著者名/発表者名
      眞弓 皓一、伊藤 耕三
    • 学会等名
      ISSPワークショップ「小角・反射率・高分解能研究会~JRR3 の再稼働を見据えて~」
    • 招待講演
  • [学会発表] 環動エラストマーの力学物性と変形メカニズム2017

    • 著者名/発表者名
      眞弓皓一、篠塚 翼、港 康佑、前田利菜、横山英明、伊藤耕三
    • 学会等名
      日本ゴム協会 2017年年次大会
  • [学会発表] 環動ゲルの網目揺らぎと動的特性2017

    • 著者名/発表者名
      眞弓皓一、奥野博明、加藤和明、横山英明、伊藤耕三
    • 学会等名
      第67回高分子討論会
    • 招待講演
  • [学会発表] 動的架橋による高分子エラストマーの強靭化メカニズム2017

    • 著者名/発表者名
      眞弓 皓一
    • 学会等名
      日本ゴム協会関東支部 講演会
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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