リチウムイオン二次電池の性能向上を目的に,水蒸気雰囲気下での粒子間接合や粒成長を利用して高安定化,高性能化に資する正極粒子の作製を試みた。スピネル型正極材料を対象とし,空気中および水蒸気中での固相合成を行った結果,粒成長が水蒸気中で大幅に加速され,結晶面の発達が認められた。また,良好なレート特性を示す正極粒子が水蒸気中で得られた。さらに,球状炭酸塩の熱分解反応への水蒸気導入によって,孔径が50 nmを超える特異な細孔構造を有する酸化物多孔質球状粒子が作製できた。本研究成果は,簡便な焼成工程における粒子の微構造制御に水蒸気が効果的に利用でき,材料特性の向上にも寄与できることを示している。
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