研究課題/領域番号 |
15K17920
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
作田 敦 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域 電池技術研究部門, 研究員 (30635321)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 硫化物 / 金属硫化物 / 電池 / 電極 / ナトリウム / メカノケミカル法 |
研究実績の概要 |
金属硫化物系電極を用いるナトリウム二次電池を実用化するためには、従来の概念を超えた高容量新材料の創製が必要である。最近、研究代表者らは、多硫化物化などの独自の設計指針を打ち立て、メカノケミカル法によって岩塩型構造を有するLi2TiS3 やLi3NbS4 などの新結晶相を見出した。これらは次世代リチウム二次電池用の高容量電極として有用である。一方で、ナトリウム含有金属多硫化物に関してはほとんど未検討の状況であった。 そこで本研究では、メカノケミカル合成法によって硫黄を高含有するナトリウム金属硫化物の新結晶相探索を目的とした。 平成27年度は、当初の計画通り、チタン、ニオブ、ジルコニウム、スズのナトリウム含有金属硫化物の新結晶相を様々な組成比で探索した。チタン系及びニオブ系においては、非晶質材料または極めて低結晶性の材料が得られた。一方で、ジルコニア系においては、Na2ZrS3組成付近で、岩塩型の結晶相の析出が確認された。いずれの中心元素においても、リチウム系に比べてナトリウム系において、導電率が低くなる傾向にあったが、ニオブ系においてニオブに対する硫黄含有比(S/Nb)が3程度のものでは、10^-2 S cm-1を超える高い導電率が得られた。現状X線回折測定においては、不純物相と考えられる回折ピークも確認されている。ナトリウム電池用電極材料の評価環境が整い、電解液及び全固体電池における電極特性評価を開始した。比較対象として、既報のリチウム系金属硫化物の合成も行い、従来の電解液型電池及び全固体電池におけ材料特性評価を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画したチタン、ニオブ、ジルコニウム系に加えてスズ系の材料探索を行い、ジルコニウム系において岩塩型の新結晶相を見出した。
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今後の研究の推進方策 |
計画に合わせて概ね順調に研究が進んでいる。今後は当初の計画通り、イオウのセレン置換や、2種類以上の中心元素の添加による固溶体の探索等、材料開発を進める。高容量電極材料開発の視点からは、結晶性の有無にかかわらず、得られた試料に対してナトリウム電池を作製し、充放電特性の評価を行う。研究補助員が確保できれば、研究の加速も見込める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費に関しては、当初の予定通り使用した。人件費を計上していたが、予算内で適した人材を確保することが困難であったため、次年度繰越分とした。また、今年度投稿分の論文投稿料(オープンアクセス料)などの確保のため、繰り越しを行った。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き研究補助員人材の確保に努める。また、成果発信として論文のオープンアクセス等に繰り越し予算を使用する。
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