研究課題/領域番号 |
15K17923
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
猪石 篤 九州大学, エネルギー基盤技術国際教育研究センター, 助教 (10713448)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ナシコン / ナトリウム金属 |
研究実績の概要 |
全固体ナトリウム空気電池の開発に向けて、まずは固体電解質として使用するNa3Zr2Si2PO12(NASICON)の合成方法を確立した。ゾルゲル法により前駆体を作成後、700℃でか焼し、ボール見る粉砕を行うことで、1000℃焼成後のペレットが非常に緻密になることを確認した。この際、緻密度が不十分であると、Na金属負極と組み合わせた際に充放電電圧が不安定になったが、これは粒界でNaが析出して部分的に短絡を起こしていると考えられた。最適化した方法で作製したNa3Zr2Si2PO12のペレットは、報告値通りの高いナトリウムイオン伝導度を示した。次に、固体電解質と電極との間には往々にして大きな界面抵抗が存在するため、ナトリウムイオン電池電極材料であるNa3V2(PO4)3を例にとり、界面形成について検討した。Na3Zr2Si2PO12とNa3V2(PO4)3は同様の結晶構造を有しているにも関わらず、その間には電解質抵抗よりもはるかに大きな界面抵抗が観測されるが、Na3V2(PO4)3に電解質としての機能も担わせ、固体電解質と電極を同組成とすることで、非常に小さな界面抵抗が観測された。得られた知見をもとに、今後は固体電解質と空気極材料の組成や結晶構造の相性に着目し、良好な界面の形成を目指す。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初は種々の空気極材料を検討する予定であったが、固体電解質と電極の間の界面形成に着目したところ、両者が少々反応するだけで、非常に大きな界面抵抗が生じるが、反応をなくすことで界面抵抗はほぼ観測されないことが判明した。このことから、固体電解質と空気極材料の相性は非常に重要であることが分かり、空気極材料の選定する際の非常に重要な知見となった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで得られた知見をもとに、空気極材料の選定を行う。特に、固体電解質と空気極の間の設計に対しては、両者の反応を極小に抑えるような元素で構成する。 電池動作を行う際には、ガスクロマトグラフを用いてガスの増減を確認することで、イオン電池ではなく空気電池として動作していることを確認する。
|